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展覧会情報(旧ギャラリーどらーる掲示板より)

2017'11.24.Fri
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2007'01.12.Fri
ありがとうございました 投稿者:竜馬@管理人 投稿日:2004/06/30(Wed) 06:05 No.1596  
 

「真柄 修一展」は本日がいよいよ最終日となりました。
1ヶ月間交替と言うのは個展をして頂く作家さんにとりまして、魅力のひとつであったと思います。
開設当初は「長く設定しすぎたかな?」と思ったこともありましたが、今は“アッ”と言う間に過ぎてしまう気が致します。
大勢の方にご観覧頂きましたことをお礼申し上げます。
本日の16時から7月の個展「木嶋 良治展」へと壁が変わります。



千の薔薇 一輪の薔薇 久保AB-ST元宏 - 2004/06/30(Wed) 11:29 No.1597   HomePage

ギャラリーどらーる『真柄 修一展』

~ 描写力の彼岸 ~

「描写力」を基準に絵を見ていると不意に後ろめたくなる瞬間がある。
 それは、まるでスポーツの優劣を語るかのように数値化のヒエラルキーの世界に自らの思考を閉じ込めている自覚が持つ、「芸術」への後ろめたさである。
 それならば、我々は自らに描写力を語る行為を、禁忌にする必要があるのだろうか。
 いや、描写力には芸術以外の分野には無い魅力が潜んでいるのもまた事実なのだ。
 たとえば私は真柄の絵においてこそ描写力を語りたい。特に最近の作品「湿原」シリーズを見る時、ここで展開されている作業こそが描写力を問われているのではないかと思う。
 彼の風景画は銀行のカレンダーに採用されるぐらいの「俗物性」を持っている。同じ意味でシャガールやマチスも俗物性を持っていると言えるので、画家にとっての俗物性は何ら恥じることではない。しかし私は、俗物性のある風景画においてわざわざ描写力を評価する興味は無い。
 真柄においては「湿原」シリーズの持つ圧倒的な独善性についてこそ私は描写力の基準を導入したい。
 ここで見ることができる画法は具象を抽象に半歩ずらすことによって浮かび上がってくるリアリズムだ。通常は抽象化によってリアルから遠ざかるのであるが、「湿原」シリーズにおいては抽象度のレベルを上げることによって描写力を上げることに成功している。この手法は今回の他の展示作品に見つけることができないのでこれは真柄のよる最新の「実験」なのだろう。
 そこで私に浮かび上がる疑問は、「湿原がなぜこの作家に創造力を与えたのか」である。
 つまり、モチーフが湿原でなければこの画法は生まれなかったのではないのかという仮定である。
 この帰納によって証明されるのは、湿原を描写するためにこの手法がとられた、という理由からくる描写力を求める強い志向である。
 結果として抽象が描写力を表現することに成功したのだが、この幸福な湿原との出会いには、必ず太陽があることがヒントになっていると思う。作品「太陽と湿原」では、画面中央の上空に浮かぶ太陽をパステル・カラー数色が格子状にパッチワークされた空が囲み、湿原を見下ろしている。確かに無限に続くかに見える湿原の前に立つと、太陽というアクセントが無ければ絵の吸引力を出すのは難しいのかもしれない。
 しかし、必ず湿原と太陽を組み合わせて描いているのであるから真柄独自の理由があるはずだ。
 そう思った時、「個展」とは便利なもので同じ作家の過去の作品をすぐに参照できる。
 たとえば「燈台」。暗闇に凛と立つ孤高の存在のような燈台が地平と水平に右に向かって黄色い光を伸ばしている。そのあまりにも数学的な構成に山岳風景画家=真柄らしからぬ印象を持つ者も多いだろうが、実にいい絵である。実はこの絵においてすらも真柄の描写への強い意志を見ることができる。このマンガ的すぎるほどの黄色い光に出合った真柄は、この光を最も的確に描写するために数学的な省略の構図を採用したのだろう。
 又もう一方で「赤い薔薇」(SM)という小さな作品がある。
 狭いスペースに幅広い筆で赤をグイグイと描くことによって、薔薇の花びらは描けないが、赤い薔薇を見た瞬間の赤の洪水を絵によって追体験できる。
 それこそ描写力である。黄色い光、赤い薔薇。作家がやろうとしていることが分る作品である。
 しかし、真柄は「太陽と湿原」において太陽を光や薔薇のように特権的な存在に描いていない。空も湿原も太陽と同じレベルの色と輝きを持っている。その色と耀きで体感を描いた。
 老いる権利を持つ全ての者が、学習は蓄積できなくとも、体感は蓄積できるかのように、真柄は体感を描写してゆく。
 一輪の薔薇を手に入れるために、千の薔薇を燃やすのが芸術である。
 それならば、千の薔薇が燃えている姿に、一輪の薔薇を見ることもできるのではないのか。
 その域に達した真柄の仕事こそが「湿原」シリーズであると私は思う。
 そして真柄の志向する色の氾濫を受け止める風景としては、太陽を真上に掲げた湿原こそが理想のモチーフであったのだ。
 私は真柄に会ったことはないが、こんな絵を見せられると本人のダンディズムを強く感じてしまう。ダンディズムとは、既成の価値にとらわれることなく、自らの目で価値を再構築しようとする意志、または運動である、と定義付けてみよう。
 そこには価値決定の前の「保留」がつきまとい、その結果、他者からはダンディズムがニヒリズムと二重に見えてしまう場合もあるだろう。しかしその「保留」とは怠惰な安定ではなくて、厳しい自由なのである。
 真柄の「湿原」シリーズ全体に繰り広げられている色は全てが「平等」である。そして、完璧な平等が存在しないかのように、平等を装った画面は見る者を目眩に誘う。
 風景を描くということは、「風景を手に入れたい」からだろうし、描く時間を利用して「風景と対話したい」からだろう。しかし、その魅力的な対話の時間に一瞬の対立が生れた瞬間があったと「湿原」シリーズは私に感じさせる。それは、実は風景は平等ではないからなのだ。時に暗闇に伸びる黄色い光や、奇跡の赤を自慢する薔薇が平等の風景のバランスを崩すことがあるだろう。しかし、それらは今や既成の体感にすぎないと感じる域に達した真柄にとって、さらに強大な一輪の花としての風景に立ち向かう必要があったのであり、平等を崩す魅力的なディテールの誘惑との対立を乗り越えて、湿原という最も真柄のやりたいことを受け止めてくれる平等な風景を選び出したのであ
る。
 そう。描写力とは既成概念をなぞる愛撫ではなくて、自らの価値観だけを頼りにモチーフの本質を鷲づかみにする暴力なのである。
 そんな画家の真摯な作業の結果が「湿原」シリーズであり、我々はここで千の薔薇が燃えている姿に、一輪の薔薇を見ることができるのだ。



Re: 久保さん、ありがとうござい... 竜馬@管理人 - 2004/06/30(Wed) 13:45 No.1599  

久保さん、独特の視点で「描写力」論を寄せて頂きありがとうございました。
この評論は、久保さんが「ギャラリーどらーる」にご来観頂いた6月13日の夜に一気に書き上げ、翌14日に久保さんのHPに上梓されていたことは承知しておりました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/3973/2004got.htm の最後尾にあります)
「1行10文字」でこの長文を書かれているを読み取るのは私の様な老人には(ガクッ)辛いものがありました。
全く推敲せずに、得意の1本指の早打ちでこの文章を仕上げた「描写力」ならぬ「創文力」には敬服いたしております。
久保「激評」のファンも出てきましたね。



Re: ありがとうございました ヨネ - 2004/06/30(Wed) 11:33 No.1598   HomePage

昨日は慌ただしくお邪魔して申し訳ありませんでした。
しかもお呼びだてしてしまい「もしかして忙しかったのかも?」と後で気付き、ちと反省してしまいました。
大丈夫だったでしょうか?(汗)
でも懲りずにまた襲撃したいと思います。(笑)
あの後、伊藤先生のとこへ行き、仕事の後、PM8:00過ぎまで色んなお話を聞かせていただきましたよ。



ヨネさん、ごめんネ 竜馬@管理人 - 2004/06/30(Wed) 14:01 No.1600  

1600.jpg こちらこそ申し訳ありませんでした。
丁度バタバタしておりまして、ゆっくりとお話も出来ずにお帰り頂いてしまって気になっておりました。
又いらしてください。でも、滝川での営業が旨く行って良かったですね。



「失言」シリーズ 久保AB-ST元宏 - 2004/06/30(Wed) 20:44 No.1602   HomePage

1602.jpg >全く推敲せずに、得意の1本指の早打ちでこの文章を仕上げた「描写力」ならぬ「創文力」には敬服いたしております。

■おかげで、また右手の中指が縮みました(笑)。

>久保「激評」のファンも出てきましたね。

■また&また「失言」の無礼と、貴HPの赤インクの無駄遣いをお許しください。

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